Wednesday, August 21, 2013

日本人ソフトウェアエンジニアのための、海外スタートアップ企業就職ガイド (準備編)

 僕は1年ほど前に、日本からイギリスのスタートアップ企業に転職しました。海外スタートアップへの転職は簡単ではないですが、技術的に売れるものと、最低限の英語力があれば、あとは十分時間をかければ可能なはずです。今回は、日頃どういった準備をすべきかについて書いてみたいと思います。

  • 関連性の高い学位を取る

    • 関連する学位を持っていると、ビザ取得や就職活動で圧倒的に有利です。情報系の修士以上が理想ですが、学士でも、また数理系(数学、電気工学、物理学など)の学位でも十分役に立ちます。ただ、実務経験を学位に代えられるケースもあるので、関連学位がないと不可能という訳ではありません(何を隠そう僕の学位も生物学でした)

  • 参入障壁の高い技術をウリとして育てる

    • 企業や国の立場に立って考えると、わざわざ外国から人を雇うには相当の理由が必要になります。一言で言うと、これらの「理由」は①給料が安い・仕事がきついため人が集まらない、②必要な技術を持った人が見つからない の2パターンに分けられます。①のコースは色々悲惨なので、絶対に②のコースを目指すべきです。
    • 一番簡単なのは、技術的に難度が高くてニッチな技術を売りにすることです。例えば、生体認証、音声認識、航空管制、暗号技術など非常にニッチな分野は技術者が見つけにくいので、求人さえあれば内定もビザも下りやすいです。ただ、あまりニッチすぎると求人が少なくなるので、分散処理、並行処理、関数型言語、金融フロントなど「適度にニッチ」な分野が最もオッズが良いのではないかと思います。鍵は、難度が高い=参入障壁が高い事です。アジャイル、Webアプリ、クラウドなど敷居が低いウリは国内で十分見つかるので、海外からの就職は難しくなりがちです。
    • 特におすすめなのは機械学習、人工知能、統計などのアナリティクス分野です。この分野は敷居が高い上需要が爆発しているので、スタートアップのみならずあらゆる分野の事業会社、コンサルティング会社などから引く手あまたで、ビザも内定も非常に取りやすいです。かつ給料水準も素晴らしく、幹部へのキャリアパスも開きやすいので、いいこと尽くめです。こっち系にいく選択肢があるのなら迷わず選ぶべき分野です。

  • 公開実績を貯める

    • 海外からの転職活動は会って話ができる時間が短いので、客観的に検証できる材料の比重が上がります。日本で日常生活を送りながら蓄積できるものもたくさんあるので、コツコツ取り組むといつか役に立つ日が来ることでしょう。効果が高い順に並べるとこんな感じです:
      • OSSプロジェクトのコミッターになる
        • 「この有名なプロジェクトのこの部分をやりました、これがそのコードです」と示せればこんなに強力なアピールはありません。例え有名なプロジェクトでなくとも、あるいはコアな部分に関わっていなくとも、何かしら貢献したものがあれば十分アピールになります。
      • OSSを公開する
        • 自分一人ででも、何かしらOSSやサービスを世に出していれば、雇う側としては実力を見極めやすいので強力なアピールになります。もちろんモチベーションが高いことの証明にもなります。メディアはなんでもよいのですが、GitHubにしとけば間違いはありません。
      • 英語ブログを書く
        • 誰も読まないブログでも構いません。日々の発見や思ったことを綴っているだけでプラスになります。雇う側としては英語力のチェックにもなります。後から英語化するのは面倒くさいので、最初から英語のブログプラットフォーム(Bloggerとか)を使うのがおすすめです。
      • StackOverflowでレピュテーションを集める
        • StackOverflowはプログラマ向けのQ&Aサイトです。業界では非常に有名で、ユーザ数を230万数え、有名なプログラマも数多く活動しています。ここで上位の評価を得ていると安心感がありますし、回答の履歴から、その人の興味関心や開発に対する考え方、コミュニケーション能力を推し量ることもできます。目安としては数千くらいレピュテーションを貯めておければベストです。
      • LinkedInでリコメンデーションを集める
        • 非英語圏からエンジニアを雇う際、「英語でうまくコミュニケーションを取っていた」とか「欧米的な風土でうまくやっていた」といったリコメンデーションがついていれば、雇う側に安心感を与える事ができます。必死になって集める必要はないですが、誰か書いてくれそうな心当たりがあれば頼んでおいて損はないでしょう。

  • 英語を磨く

    • いろんなところで「英語ができなくても気持ちさえあれば大丈夫」とか言われていますが、僕は全くそう思いません。確かにエンジニアは営業やマーケティングに比べれば求められる英語要件は低いですが、そもそも面接で実績やスキルをアピールできなくてはいけませんし、「こいつは社内で十分コミュニケーションを取ってやっていけそう」と思ってもらわなくてはいけません。また、先々出世するためには、コミュニケーション力(事実上≒英語力)がより重要になっていきます。焦る必要はないですが、英語力向上に努めるべきなのは明らかです。
    • ちなみに、個人的に英文法の勉強はあまり有用でないと思います。細かい文法が間違っているから言いたいことが伝わらないということはあまりありません。語彙、単語の使い方についての理解、発音の問題で伝わらないことの方が遥かに多いです。ですので、これらの力を強化できるような学習をした方が良いような気がします。






What will happen with Ethereum in 30 years?

tl;dr : We will continue to have a decentralized, global chain powered by ETH, but most of the economic activities using smart contracts ...